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(3)結果と考察
a. 乗降性
乗降性については、予想通りに、ノンステップ型でニーリングを作用させるものが、縁石からの乗降が一番楽であり、段差をほとんど感じさせなかった。10cmの高低差では、ほとんど平行移動に近く、足下を注意して見ずとも乗降でき、従って乗降時間も一番短い。しかしながら、ノンステップ型でも15cmの縁石がないと、25cmの1段は、乗り込むという意識を感じさせる。
ワンステップ型、ツーステップ型でも、健常者(若者)は、あまり苦痛を感じることなく、短時間で乗降していた。重い荷物等を持っていれば、多少変化が見られたかも知れない。高齢者は、ステップを1段1段上るので、乗降時間に顕著な差がでた。20cmまでの段差は、手すりを使わずに上れたが、25cm程度となると、手すりを使うか、1段毎に足をあわせた方が楽に上れるとの意見が得られた。30cmを超える段差については、手すりを使い、「よっこらしょ」と上る感じとなった。これらの結果は英国の文献などと一致する(図3.1−6参照)。
扉の幅については、一部の実験で900mmと1200mmを比較してみたが、900mmでは1列乗降、1200mmとなると2列の乗降が可能になり、乗降時間の短縮が見られた(図3.1−7参照)。
b. 車内レイアウト
シートピッチについては、700mm±50mmを試してみたが、650mmではやや窮屈なものの、700mm程度あれば十分のようであった。荷物があれば、また評価が異なる可能性がある(図3.1−8参照)。
シートの向きについては、横向きが着座性に優れているが、実際に走る場合に車酔いする可能性を指摘する意見があった。前向きでやや通路側に傾けるものが評価が高かった(図3.1−9参照)。
タイヤハウス上のシートについては、着座するのが大変という意見と、立席者から見下ろされる感じでないのでよいという意見が得られた。シートの位置ならびに方向の選択肢がたくさんあれば、好む人が座ればよいと思われる。
後ろ向きのシートは、否定的な意見が多いなかで、足下が窮屈なものよりは、こちらの方がよいという意見もあった(図3.1−10参照)。

 

 

 

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